ゴルフには『公式ルール』と『ローカルルール』あります。
『公式ルール』とは、日本で言えばJGA(日本ゴルフ協会)が定めるゴルフ競技においてのルールを差し、『ローカルルール』とは、各ゴルフコースやコンペ主催者が公式ルールに加えて定める独自ルールを差します。
ローカルルールの主な役割として「プレーファスト(円滑なプレー進行)」促進のための救済措置が挙げられますが、その中でもスコアが100に届かない初心者、初級者が頻繁にお世話になるのが『プレーイング4(前進4打)』ではないでしょうか。
「OBだ!またプレ4か・・・」
なんて肩を落とす姿もコース上ではよく見られますが、ではプレーイング4は損なのでしょうか?得なのでしょうか?
本記事ではプレーイング4を足がかりに、ローカルルールの意図を正しく理解して行きましょう。
プレーイング4(前進4打)とは?
プレーイング4とは一般的に『ティーショットがOBの場合、次打を指定の特設ティーから4打目として再開する』ことを指します。
※ローカルルールですから、定めるコースや主催者によって多少の違いがあることもあります。
ゴルフコース側がこのルールを適用する理由としては『円滑なプレー進行のため』というのが最も当てはまるでしょう。
通常、ゴルフコースにおいては7分~10分おきに次々と各組がプレーをスタートします。
そのため、極端にプレーの進行ペースが遅い組がいるとそのあとに続く組が渋滞を起こしてしまい、プレーの渋滞はプレイヤーにとって、リズムを崩してイライラを加速させる『負』の要素となってしまいます。
コース側としてはプレイヤーには楽しくゴルフをプレーしてもらいたい反面、利益のためになるべくスタート間隔を狭くして多くの組にコースを回ってもらいたいという事情もありますから、ふたつの事情を両立させるために『スタート間隔を変えずにプレーの遅延を減らす』ことを目的としたローカルルールが適用されるんですね。
プレーを遅らせる要因は多々ありますが、その一つがOB(アウトオブバウンズ)です。
OBは公式ルールでは1打罰での同地点からの打ち直しとなりますから、その間は同組の進行が止まることになります。
予備のボールを準備し、さっきの1打を反芻して狙いどころを変え、ティーアップしてスタンスを取り直し・・・
と考えるだけで、かなりの時間を浪費してしまうことが容易に想像できますよね。
このプレーの遅延を避けるために打ち直しを廃止し、「3打目を打ったものとしてプレーを続行する」のが『プレーイング4』です。
プレーイング4は100%得しかない
では本題、プレーイング4は損でしょうか?得でしょうか?
答えは簡単、『100%得』です。
考えてみましょう。
プレーイング4のための特設ティーはどの位置にあるでしょうか。
多くの場合、350ヤードpar4のホールであればピンから100~150ヤード手前、スタイミーな障害物を挟まない位置にあります。
500ヤードpar5であれば250~300ヤード手前あたりでしょうか。
プレーイング4とは、先述の通り「3打目を打ったものとしてプレーを続行する」ルールです。
ということは、OB後の打ち直しの3打目でここまで運んだことと同じ意味になりますよね。
では、スコアが100に届かないアナタは打ち直しのティーショットを確実にこの位置に運ぶことができますか?
『ティーショットで200~250ヤードのフェアウェイキープを100%成功させる』ための技術に自信はありますか?
しかも、状況としては1打目をOBして精神的にもグラついている場面です。
当然無いですよね。
このショットを高い確率で成功させるのはアベレージ90を下回る中級者~上級者でしょう。
それでも100%とはいかないはず。
プレーイング4とは、この超完璧なショットをノーリスク且つ100%の確率で成功させてくれる『お得な救済措置』なんです。
「もう一回打ち直したいな・・・」なんて不満を述べ、実際にローカルルールを無視して打ち直す方もいますが、もしもその3打目が失敗したらスコアはボロボロ。
精神的なショックは後を引き、影響はその後に続くホールにも出てしまうでしょう。
ゴルフはメンタルスポーツです。
「うわぁ、プレ4かよ・・・ついてないなぁ」と思うより『OBだけどプレーイング4だからラッキー^^』くらいに前向きに捉え、寄せワンのボギー狙いに集中した方がスコアは確実に良くなります。
後悔すべきはプレーイング4の適用ではなくOBしてしまった1打目のショット。
この場は一度後ろ向きな後悔を捨て、後日じっくり練習場で鍛錬をつみましょう。
寄せワンとは グリーン周りでアプローチ(寄せ)とパッティングの1打(ワン)、計2打でまとめるプレーのことを言います。
ショートホールのプレーイング4だけは要注意
上で述べた『お得なプレーイング4』はミドルもしくはロングホールについて当てはまります。
ただし、par3のショートホールだけはこうはいきません。
4打目の特設ティーは必ずグリーンの外に設置されていますから、par3のホールでプレーイング4適用から寄せワンでカップインしたとしてもスコアは『5』。
痛恨のダブルボギーが最善策ということになってしまいます。
実際にはスコアが100に届かない腕前であれば寄せワンも難しく、トリプルボギー(ダブルパー)も覚悟しなくてはいけませんね。
そのため、ショートホールに限っては『プレーイング4は損』ということになってしまいますからティーショットには細心の注意を払ってプレーしましょう。
プレーイング3 稀に、ショートホールに関して「1打目OBの場合は特設ティーから3打目としてプレーを再開する」というローカルルールを定めているコースもあります。 この1打の差はとても大きく、1打目OBでも現実的にボギーが狙えることになります。 「1打目でグリーンオンしたもののパッティングに苦戦してボギー」のプレイヤーと終わってみたら同じスコアだった、なんてこともあり得ますから超お得ですね。 プレーイング3が適用されるショートホールを見つけたら、多少の無理は承知で思いっきりベタピンを狙いに行くのもアリですよ。
ロストボールの救済も原理は一緒だが・・・
プレーイング4と似たような意味で、『ロストボールの場合はロストした地点から2打罰でプレー続行』というローカルルールも存在します。
本来ロストボールの場合はOBと同じ扱いで前の地点からの打ち直しになりますが、コース上を戻っての打ち直しはプレーの遅延に大きく影響するため「打ち直したショットでロスト地点まで運んだものとして」2打罰からのプレー続行となるルールですね。
この場合、ロストボールに至る経緯を考えてみましょう。
「ナイスショットで確実にフェアウェイ近辺に運んだつもりなのにロスト」してしまった場合。
これは不運としか言いようがありません。
同伴者もショットの行方を見ていて、絶対にこの辺に落ちたはずなのにボールが無い、なんてこともたまにあります。
もしも自分が同伴者側であれば「ちゃんと見てたよ、無いはずが無いんだから無罰で打っていいよ」と伝えたいくらい。
これは素直に2打罰でプレーしましょう。
次に、「OB杭の際だけど多分ある、と思ったらロスト」してしまった場合。
せめてOB杭の外にボールを見つけられればプレーイング4適用で絶好の位置から打てたのに、下手に粘ってロスト扱いにしてしまうとOB杭の際、グリーンが狙いにくい位置からおなじ4打目を打つはめになってしまいます。
しかもボールを探す時間もそれなりに使ってしまったのでプレーが止まってしまっています。
是非ともこんな時は、ボールを探時間をす浪費する前に素直に『OB』を宣言してしまいましょう。
自分に有利な宣言をすることになるのでグレーな判断ではありますが、競技に出場しているわけではないサンデーゴルフであれば『プレーファスト』を優先するための判断として充分アリだと思います。
審判がいないスポーツですからこういった場面は少なからずあります。
後の組に迷惑をかけないためにも、ボールを長時間探す前のOB宣言であれば同伴者も気を悪くしないでしょう。
アナタが初心者、初級者であれば尚更、打ちやすい位置から打てるように同伴者も気を使ってくれるはずです。
プレイヤーの大半は意外とルールを知らない
特に若い方に多いのですが、ゴルフのルールをほとんど把握していない方が意外とたくさんいます。
自分より上手い知り合いに教えられるうちになんとなく必要最低限のルールをわかったつもりになって、しっかり調べることをしない。
ウォーターハザードとラテラルウォーターハザードの違い、動かして良い杭と悪い杭の違いなどゴルフのルールは覚えにくい細かい点が多いのも事実ですが、「なぜこのケースは〇打罰なのか」「なぜこのホールにこのルールが適用されているのか」といったルールの真意を把握しておけばいろんなイレギュラーにも落ち着いて対応できるという精神的なメリットがあるのも事実です。
そしてこの精神面の安定はメンタルスポーツであるゴルフにはとても大きく作用します。
是非とも、プレイ中に気になったことは自分の目で調べて確かめてみてください。
▶リンク JGA 日本ゴルフ協会 ゴルフ規則ページ